事業用資産

事業用として使用していた資産を買い換えました。この場合受けられる特例があるのでしょうか。

個人が、事業用として使用した特定の地域にある建物・土地を譲渡し、一定の期間内にその建物・土地の特定の資産を得て、その取得日から1年以内に買換資産を事業用として使用した場合、一定の要件を満たした上で、譲渡所得の一部の課税を将来に繰り延べることが可能です。これを、事業用の資産の買換えの特例と申します。
この特例の対象になると、売却した金額より買い換えた額数の方が多い際には、売却した額数に2割を乗じた額数を収入金額にして譲渡所得の計算をします。
買い換えた金額が売却した金額より少ない場合は、その差額と買い換えた金額に2割を乗じた額数との合計を収入額にして譲渡所得の計算をします。

この特例の適用対象になるためには、以下の要件全部に該当する必要があります。
1.買い換えが目的で売却する資産と買う資産は、ともに事業用のものに限ります。
2.譲渡資産と買換資産が、ある一定の組み合わせに該当するものであるもの
(1)東京都の23区や大阪市などの既成市街地など内にある事業所・事務所として使用されている建物、その敷地用の土地で、その譲渡日に含まれる年の1月1日時点での所有期間が10年以上のものを譲渡して、既成市街地などでない地域にある事業用の建物・土地・構築物・機械措置を得る場合(日本内の者に限られます)
(2)譲渡が行われた日が含まれる年の1月1日時点の所有期間が10年以上である日本内の事業用土地などを譲渡して、日本内の事業用の建物・土地・構築物・機械措置を得る場合:土地などに関しては、以下のどちらかの項目に当てはまるもので、面積が300平方メートルを超えるものに限られます。
a.駐車場の用途に使用されるもので、構築物や建物の敷地用として使用されていないことに関して、建築基準法第6条第1項の定めによる建築確認の手続きや、都市計画法第29条第1項・第2項の定めによる開発行為の許可の手続きなどが進んでいる途中であるなどのやむを得ない事情があって、その事情が明確になっている申請書などの書類があるもの
b.工場、住宅、事務所、店舗、作業所、倉庫、営業所とこれらと類似の施設の敷地として使用されるもの:福利厚生施設に当てはまるものは除外となります。
3.買換資産が土地などである場合は、その獲得する土地などの面積が、譲渡した土地などの面積の5倍を超えないことであること。5倍を超える部分は特例の対象になりません。
また、一定の農地に買い換える場合は10倍を超えないということがあります。
4.資産の譲渡が行われた年が、その前年中か翌年中に資産を買い換えること。
また、前年中に得た資産を買い換え資産にするためには、取得年の次の年3月15日までに「先行取得資産に関する買い換えの特例の適用対象に関わる届出書」を税務署長宛てに出してください。
なお、売却した次の年中に資産を買い換える予定がある場合は、確定申告を行う時に買い換える予定の資産に対する取得予定年月日と取得価額の見積額、買い換え資産が買い換えの組み合わせのどちらかに当てはまるかの別、その他の事項を記した「買い換え資産の明細書」の添付が必要です。
5.資産を買い換えた日から1年以内に事業用として使用すること。また、取得日から1年以内に事業用として使用しなくなった場合は、特例の適用対象になれません。
6.この特例を適用したい資産に関しては、他の特例(優良賃貸住宅の割増償却など、優良住宅地の造成などのために土地などを譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例)を重複して適用させることは不可能です。
7.譲渡資産の譲渡は、交換、贈与、出資、代物弁済、収用等としての譲渡ではないこと。なお、買い換え資産の取得は、代物弁済によるもの、所有権移転外リース取引によるもの、交換や贈与によるものでないこと。
8.土地などの譲渡に関しては、譲渡年の1月1日時点の所有期間が5年以上であること。また、2013年12月31日までに行った土地などの譲渡に関しては、この要件が止まっています。しかし、2の(1)(2)で説明された組み合わせの場合は、所有期間に関して、譲渡した年の1月1日での10年以上であることが、個別の要件となっています。

この特例の適用対象になる場合の譲渡所得の額数は、以下の計算式によって算出されます。
1. 買換資産の取得価額と譲渡資産の譲渡価額が同じ額か、買換え資産の取得価額の方が多額である場合
(1)譲渡資産の譲渡価額X20%=収入金額
(2)(譲渡費用+譲渡資産の取得費)X29%=必要経費
(3)収入金額‐必要経費=課税される譲渡所得の額数
2.買換資産の取得価額が譲渡資産の譲渡価額より少額である場合
(1)譲渡資産の譲渡価額‐買換資産の取得価額X80%=収入金額
(2)(譲渡費用+譲渡資産の取得費)X(収入金額/譲渡資産の譲渡価額)=必要経費
(3)収入金額‐必要経費=課税される譲渡所得の額数

特例の適用対象になるためには、確定申告書に以下の書類を添付して提出することが必要です。
1.買換え資産の登記事項証明書など、その資産の取得の事実を証明する書類
2.譲渡所得の内訳書[建物・土地用]
3.譲渡資産・買い換え資産が特例の適用要件になっている特定地域の中にあることを証明する市区町村長などからの証明書など
*資産を買い換える見込みで、この特例の適用対象になる場合は、上記の1の登記事項証明書などは、資産を買い換えた日から4ヶ月以内に出す必要があります。

最後に、資産を買い換える予定でこの特例の適用対象になって申告をした買換資産の見積額より実際の購入価額の方が多額であった場合は、資産を実際買い換えた日から4ヶ月以内に更正の請求書を出して所得税の還付を要請することができ、逆に、買換え資産の見積額より実際の購入価額の方が少額であった場合は、その買い換えの期間が過ぎる日から4ヶ月以内に修正申告をして、差額の所得税の納める必要があります。
次の年中に資産を買い換える予定で買換え資産の取得を行わなかった場合・買い換え資産を取得した日から1年以内に事業用として使用しないか、使用しなくなった場合は、このような事情に当てはまることになった日から4ヶ月以内に修正申告を行って、差額の所得税を納める必要があります。

*2011年3月11日~2016年3月31日までの期間内に被災区域内の構築物、建物、土地などで201年3月11日以前に取得されたものを譲渡し、日本内の土地など、減価償却資産を取得する場合などの特定事業用資産の買い換えなどをする時の譲渡所得の課税の特例が設けられています。

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